「模試の偏差値、先月と同じでした。これだけ勉強しているのに」。面談の席で、保護者の方からこう切り出されることがあります。
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私自身、静岡県内で10年以上にわたり塾講師として中学生を指導してきました。偏差値が動かない時期は、努力している生徒ほど焦りやすく、「才能がないのでは」と自分を責めてしまう場面も見てきました。けれども、偏差値が停滞する理由の多くは、能力ではなく「勉強の中身」と「数字の読み方」にあります。
先に結論です。偏差値が伸びないときは、勉強時間を増やす前に、「どの教科の、どの分野で、どんな失点をしているか」を一度分解してください。原因が分かれば、同じ時間でも点数の動き方は変わります。
この記事では、偏差値の仕組み、停滞する5つの原因、模試の結果の読み方、教科別の立て直し方、家庭でできること、外部の力を借りる選択肢、入試までの時間の使い方を順に整理します。
偏差値が動かないのは「伸びていない」とは限らない
まず、偏差値という数字の性質を押さえておきます。偏差値は、その模試を受けた集団の中での相対的な位置を表す数字です。自分の点数が上がっても、周りの受験生がそれ以上に上がれば、偏差値は変わらないか、下がることがあります。
とくに中3の秋は、部活を引退した生徒が一斉に勉強を本格化させる時期です。集団全体の力が底上げされるため、「昨日の自分より点数は上がっているのに、偏差値は横ばい」ということが普通に起こります。これは停滞ではなく、周囲と同じペースで伸びている状態です。
確認したいのは、偏差値だけでなく次の3つです。
- 素点(教科ごとの点数):前回より上がっているか、下がっているか
- 正答率が高い問題を落としていないか:多くの受験生が取れている問題での失点は、偏差値に響きやすい
- 受けた模試の種類:模試が変わると受験者層が変わり、偏差値の水準もずれることがある
模試の偏差値は、実施する会社や受験者層によって出方が異なります。静岡県内で受けられる模試の違いは、次の記事で整理しています。
また、静岡県の公立高校入試は、学力検査(全日制は5教科)と調査書(内申点)をもとに判断されます。模試の偏差値は志望校選びの参考になりますが、合否そのものを決める公式の数字ではありません。偏差値の数字に一喜一憂するより、「点を落としている場所」を見つけるほうが、入試に直結します。
偏差値が停滞する5つの原因
偏差値が止まる理由は、大きく5つに分けられます。お子さんがどれに当てはまりそうか、考えながら読んでみてください。
原因1:基礎の抜けが残っている
中3の秋でも、中1・中2の内容に穴が残っている生徒は少なくありません。たとえば数学なら正負の計算や文字式、英語なら一般動詞と be 動詞の区別、国語なら漢字や古文の基本語などです。
こうした抜けは、新しい単元を進めても点数が上がらない原因になります。応用問題に手を伸ばしても、途中の計算でつまずけば得点にはなりません。
原因2:「分かったつもり」で終わっている
解説を読んで「なるほど」と思っても、白紙から自力で再現できなければ、入試では得点になりません。ワークを一周して満足してしまい、2周目、3周目で間違えた問題を解き直す作業が抜けているケースがよくあります。
見分け方は簡単です。1週間前に解いた問題を、解説を見ずにもう一度解かせてみてください。そこでつまずくなら、理解は「見て分かる」段階で止まっています。
原因3:間違いの原因を分析していない
模試が返ってきたら点数と偏差値だけを見て、ファイルにしまってしまう。これは非常にもったいない使い方です。模試は、自分の弱点が一番はっきり出る「無料の診断書」だからです。
間違えた問題に、次のような印を付けるだけでも、見える景色が変わります。
- 知識不足(そもそも知らなかった)
- 計算・ケアレスミス(分かっていたのに間違えた)
- 解き方が分からない(手がつかなかった)
- 時間切れ(最後まで解けなかった)
原因4:苦手教科を避けて得意教科に偏っている
人は、得点が出る得意教科を勉強したくなるものです。ところが、5教科の合計で見ると、苦手教科の底上げのほうが、同じ時間で得られる点数は大きいことが多くあります。すでに高得点の教科を5点伸ばすより、苦手教科を15点伸ばすほうが、合計への影響は大きいからです。
原因5:勉強の量はあるのに、やり方が合っていない
長時間机に向かっていても、ノートをきれいにまとめるだけ、教科書を眺めるだけ、という使い方では、点数に結びつきにくくなります。「インプット(読む・聞く)」より「アウトプット(解く・書く・説明する)」の比率を上げるのが基本です。
勉強時間と点数がかみ合わない原因については、次の記事でも掘り下げています。
→ 静岡県の中学生、定期テストで点が取れない原因と立て直し方|内申点を上げる勉強法
模試の結果を「診断書」に変える読み方
原因が分かっても、実際にどう調べればよいかが分からないと、手が動きません。ここでは、模試が返ってきたその日にできる手順を示します。所要時間は、1教科あたり20〜30分が目安です。
手順1:教科ごとに「取れたはずの問題」を探す
大問ごとに、正答率が書かれている模試が多くあります。正答率が高いのに自分が落とした問題を、まず別の色のペンで囲みます。これが、最も優先して直すべき失点です。
正答率の低い難問は、いったん後回しにして構いません。多くの受験生が取れない問題を落としても、偏差値への影響は小さいからです。
手順2:失点を4つの型に分ける
先ほどの「知識不足」「ケアレスミス」「解き方が分からない」「時間切れ」の4つに、失点を振り分けます。振り分けたら、それぞれの失点が何点分あるかを足してみてください。
- 知識不足が多い → 暗記と基礎の復習を増やす
- ケアレスミスが多い → 見直しの手順を決める
- 解き方が分からないが多い → 例題に戻って、解法を覚え直す
- 時間切れが多い → 解く順番と時間配分を練習する
手順3:次の模試までの「1つの目標」を決める
弱点が複数あっても、全部を一度に直そうとすると続きません。次の模試までに直すのは、最も失点が大きい1つか2つに絞ります。たとえば「数学の計画的な計算練習を毎日10分」「英語の単語を1日20個覚え直す」など、行動の形で決めると、実行しやすくなります。
ここで、一人で分析して直すことに限界を感じる方もいるでしょう。「どこが弱点なのか、親も本人も判断がつかない」「分析しても、何をどの順で直せばいいか分からない」という場合は、第三者の目を入れる価値があります。そのため、静岡県に対応している家庭教師の料金を、無料で比べておくと、苦手分野を一緒に洗い出してもらう選択肢を具体的に考えやすくなります。
教科別:偏差値が止まったときの立て直し方
ここでは、5教科それぞれで、停滞しやすいポイントと対策を整理します。点数の目標は家庭ごとに異なるため、数字は挙げず、取り組む順番を中心に示します。
数学:計算の正確さと「型」の習得
数学が伸びないとき、多くは計算の正確さと、典型問題の解法の「型」に問題があります。応用問題に挑む前に、大問1・2で扱われる基本的な計算や小問を、確実に取れる状態にします。
おすすめの流れは次のとおりです。
- 計算問題を毎日5〜10問、時間を計って解く
- 間違えた問題の解き直しノートを作る
- 1週間後、同じ問題を解説なしで解き直す
静岡県の数学の序盤対策は、こちらでまとめています。
英語:単語・文法・リスニングを分けて考える
英語は、単語力、文法、長文読解、リスニングが絡み合う教科です。偏差値が止まっているときは、どの技能で失点しているかを分けて見ます。
- 単語が弱い → 毎日の短時間の反復(見て、書いて、言う)
- 文法が弱い → 中1〜中2の基本文型に戻る
- 長文が弱い → 文を前から順に読む練習と、設問の根拠探し
- リスニングが弱い → 音声を毎日聞く習慣と、スクリプトでの確認
リスニングは、短い時間でも毎日触れることで伸びやすい分野です。対策は、次の記事が参考になります。
国語:読み方の手順を決める
国語は「感覚で解いている」生徒ほど、点数が安定しません。設問の答えを本文のどこから拾うか、根拠に線を引く習慣をつけます。漢字・語句・文法といった知識問題は、取りこぼさないことが優先です。
作文や記述がある場合は、書いたものを家族や先生に読んでもらい、「何が言いたいか伝わるか」を確認すると改善しやすくなります。
理科・社会:用語の暗記を「問題形式」で確認する
理科・社会は、取り組んだ分だけ点数に反映されやすい教科です。一方で、用語を目で追うだけで終わっていると、記述や資料問題で崩れます。
- 用語は、一問一答形式で口に出して確認する
- 理科は、計算問題の型を数学と同様に繰り返す
- 社会は、地図・グラフ・年表などの資料に慣れる
- 間違えた単元だけでなく、前後のつながりも確認する
理科・社会は、入試直前の追い込みで点数が動きやすい教科でもあります。今のうちに全範囲を一周しておくと、後半が楽になります。
勉強の組み立て方:1週間の型をつくる
教科別の方針が決まったら、次は1週間の中にどう配置するかです。ここでは一例を示します。お子さんの生活に合わせて調整してください。
1週間の組み立て例
- 平日:基礎の反復(計算、英単語、用語確認)を中心に、教科を絞って短時間で回す
- 週末の1日:模試や過去問の解き直しなど、まとまった時間が必要な学習をする
- 週末のもう1日:一週間の振り返りと、翌週にやることの確認、休息
大切なのは、「何をやるか」を前の日に決めておくことです。当日になって考えると、取りかかるまでの時間が長くなり、気持ちが乗らない日に崩れやすくなります。
過去問をいつから、どのように使うかについては、次の記事をご覧ください。
→ 静岡県公立高校入試の過去問はいつから・何年分?点数が伸びない子の使い方
家庭でできること:声かけと環境づくり
保護者の関わり方は、お子さんの気持ちに大きく影響します。偏差値が伸びないとき、お子さんは自分でも気にしています。そこに結果だけを責める言葉が重なると、勉強そのものから気持ちが離れてしまうことがあります。
家庭でできることのチェックリスト
- 点数や偏差値の数字より、「間違えた問題をどう直すか」を一緒に話す
- 他の子や兄弟との比較をしない
- 睡眠時間を確保できているかを気にかける
- 勉強する場所を静かに保つ(スマホは別の場所に置く習慣を作る)
- 小さな進歩(解き直しができた、単語が増えた)を言葉にして伝える
一方で、やらないほうがよいことも挙げておきます。
- 「もっとやりなさい」と量だけを求める
- 偏差値を理由に志望校を一方的に決める
- お子さんの前で不安や焦りを強く表す
お子さんが落ち込んでいたり、眠れない・食べられないなど心身の不調が気になったりする場合は、無理をさせず、学校の先生や専門家に相談してください。勉強の方法の問題と、心身の状態の問題は、分けて考える必要があります。
外部の力を借りる選択肢:塾・家庭教師・通信教育
家庭だけで原因を特定し、立て直すのが難しい場合は、外部の力を借りることも前向きに考えてよいと思います。主な選択肢は3つあります。それぞれの向き不向きを公平に整理します。
集団指導の塾
- 向いている子:周りの生徒に刺激を受けると頑張れる、決まった時間に通うと習慣が続く
- 注意点:授業の進度が固定されているため、自分の苦手単元に戻りにくい。通塾時間や送迎が必要
個別指導の塾
- 向いている子:苦手分野を個別に見てもらいたい、質問しやすい環境がよい
- 注意点:講師の質や担当制度は教室によって異なる。費用は回数によって変わる
家庭教師
- 向いている子:自宅で集中できる、通塾時間をなくしたい、苦手単元だけを戻って学び直したい
- 注意点:会社や講師によって費用や指導の質に差がある。講師との相性が大切
通信教育
- 向いている子:自分で計画を立てて進められる、費用をおさえたい
- 注意点:自己管理が必要で、つまずいたときに質問しにくい場合がある
塾と家庭教師の選び方については、通塾が難しい家庭に絞った記事もあります。
→ 塾と家庭教師どっちがいい?静岡県の中学生・通塾が難しい家庭の選び方
偏差値が停滞しているお子さんの場合、弱点が教科や単元ごとに違うことが多く、集団授業の進度では手が回らないことがあります。その点、家庭教師は、模試の結果を一緒に見ながら「どの単元に戻るか」を相談して決められる形が取りやすい選択肢です。もちろん、すべての子に合うわけではなく、費用や講師との相性を確認したうえでの判断になります。
- 模試の偏差値が数か月、同じところで止まっている
- どの教科のどの単元でつまずいているのか、親も本人も判断がつかない
- 部活や通塾の送迎で、塾の時間に合わせるのが難しい
- 集団授業では、苦手な単元まで戻ってもらう時間がない
家庭教師比較くらべーるなら、静岡県に対応している家庭教師会社の料金や口コミを見比べて、気になる会社の資料を無料でまとめて取り寄せられます。
家庭教師を検討するときに、何をどう比べればよいかは次の記事で詳しくまとめています。
→ 静岡で家庭教師を選ぶ方法|料金相場・塾との違い・失敗しない比べ方
偏差値に振り回されない志望校の考え方
偏差値が伸びないと、志望校を下げるべきかどうかで悩む方も多いと思います。ここでは、判断の材料を整理します。
静岡県の公立高校入試は、学力検査と調査書(内申点)を合わせて判断されます。一般選抜には、学校が独自に定める学校裁量枠と、県共通の方法による共通枠があり、学校・学科によって選抜の方法が異なります。傾斜配点がある学校・学科も一部あります。志望校の選抜方法は、必ず県教育委員会の資料と学校の公式発表で確認してください。市立高校については市の定めがあるため、中学校に相談しましょう。
模試の偏差値は、志望校の合格可能性を見る目安の一つにすぎません。判断するときは、次の点も合わせて見てください。
- 内申点(2学期までの成績)の状況
- 学調(学力調査)の結果。ただし、学調は入試そのものではなく、学校や塾が志望校の目安に使う資料
- 志望校の過去の入試問題との相性
- 通学のしやすさ、校風、部活動など、高校生活で大切にしたいこと
学調の点数が伸びないときの立て直し方は、次の記事で整理しています。
併願の仕組みは学校ごとに異なります。私立高校との併願を含めて考える場合は、次の記事を参考にしてください。
志望校の変更は、早い時期に家族で話し合い、担任の先生や進路の先生の意見も聞いたうえで、お子さん本人が納得して決めることが大切です。偏差値だけで「無理」と決めつけることも、「まだ大丈夫」と先延ばしにすることも、どちらも避けたい判断です。
入試までの残り期間の使い方
ここまでの内容を、これからの時間に当てはめます。令和9年度(2027年)静岡県公立高校の一般選抜は、願書受付が2月16日(火)〜18日(木)正午まで、学力検査・面接などが3月3日(水)・4日(木)、合格者発表が3月12日(金)正午以降です。今日(10月18日)から学力検査まで、あと136日です。日程は県教育委員会の「公立高校をめざすあなたへⅡ」で確認できます。更新が入ることもあるので、時期が近づいたら公式ページを見直してください。
出典:静岡県「公立高校をめざすあなたへⅡ」(2026年10月13日確認)
136日を、おおまかに3つの期間に分けて考えます。
- 10月〜11月:模試の分析と、基礎の抜けの補修。2学期の定期テストで内申点を落とさない
- 12月〜冬休み:過去問や入試形式の問題に取り組み始める。苦手教科の底上げを仕上げる
- 1月〜入試直前:新しいことを増やさず、解き直しと弱点の最終確認に絞る。体調管理を優先する
冬休みの具体的な計画は、こちらの記事に詳しくまとめています。
→ 中3の冬休みの勉強計画|静岡県公立入試まで残り2か月の過ごし方
136日は長く感じられますが、定期テストや冬休み、年末年始を除くと、実際に使える日数は思ったより少なくなります。偏差値の停滞に気づいた今が、立て直しを始めるのに適した時期です。外部の力を借りる場合も、講師との相性確認や体験の期間に余裕があるほど、落ち着いて選べます。今のうちに比べる材料をそろえておけば、模試の結果を受けてすぐ動き出せます。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、静岡県の入試(内申点・学調・学力検査)への対応が大きく違います。先に資料をそろえて、同じ項目で見比べてから話を聞くのが、失敗しない近道です。
資料が届いたら確認したいこと
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)と、入試までの総額
- 模試の結果をもとに、苦手単元から学び直す進め方ができるか
- 教科ごとの対応(苦手な1〜2教科だけ依頼できるか)と、指導の頻度の選び方
- 講師が合わなかったとき、無料で交代できるか
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まとめ:偏差値の停滞は「分解」から始める
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 偏差値は相対的な数字で、点数が上がっていても周りが伸びれば横ばいになる。秋は特に起こりやすい
- 停滞の原因は、基礎の抜け、分かったつもり、分析不足、苦手教科の放置、やり方のずれの5つに分けられる
- 模試は「取れたはずの問題」を探し、失点を4つの型に分けて、次の目標を1〜2つに絞る
- 教科別に、取り組む順番を決めて、1週間の型をつくる
- 家庭では結果を責めず、直し方を一緒に考える。心身の不調が気になるときは専門家に相談する
- 学力検査は3月3日(水)・4日(木)。残りは136日で、今が立て直しの好機
次にやることは、直近の模試を手元に出して、取れたはずの問題に印を付けることです。そのうえで、家庭だけで進めるのが難しいと感じたら、資料を取り寄せて、同じ項目で見比べてみてください。「必ず偏差値が上がる」と言える方法はありませんが、比べる材料をそろえておくことで、納得して選ぶことができます。







