浜松北高校は明治27年の創立、浜松南高校は昭和38年の開校です。どちらも浜松市中央区にある県立の全日制高校ですが、歩んできた歴史も、学科の構成も、校風もずいぶん違います。
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「浜北を第一志望にしたいけれど、届かなかったときに浜南でよいのか」「そもそも2校は同じ『進学校』として考えてよいのか」。浜松地区の中3のご家庭から、こうした相談を受けることがあります。私自身、静岡県内で10年以上にわたり塾講師として中学生を指導してきましたが、この2校は「上下」で語られがちな一方、実際には学科の作りや日々の過ごし方に違いがあり、そこを見ずに決めると入学後にずれを感じやすい組み合わせだと考えています。
結論を先に言うと、学力面の目安は浜松北のほうが高く、浜松南は「普通科」と「理数科」という別の入口を持つ学校です。どちらを選ぶかは、偏差値の差だけでなく、国際科か理数科か普通科か、通学手段、部活動と学習のバランスで決めるのが現実的です。この記事では、偏差値、入試の仕組み、部活動、進路状況、通学を整理し、最後に併願と入試までの動き方を示します。
基本情報の比較:学科と学校の特色
まず、2校の骨組みを並べます。いずれも静岡県教育委員会の学校紹介ページと、県が公開している各校の「事務事業及び予算の執行実績」で確認できた範囲です。
浜松北高校(中央区広沢)
- 学科:普通科・国際科(全日制)
- 創立:明治27年
- 特色:「自主独立」の精神を基盤とした自由な校風、文武両道、一年を「動」の時期と「静」の時期に分けたメリハリのある学校生活
- 行事:学校祭、合唱大会、運動会の3大行事を、県の紹介ページは「質の高さとエネルギー量を誇る」としています
- 国際科:県の紹介ページに「海外研修など、グローバルな人材育成」とあります(研修の行き先や期間など詳細は、学校のホームページで確認してください)
浜松南高校(中央区米津町)
- 学科:普通科・理数科(全日制)。浜松市内で唯一、理数科を設置する全日制の高校です
- 開校:昭和38年(開校時は普通科と商業科。理数科は平成15年に設置)
- 校訓:「最善を尽くそう」。進学希望の実現を第一の目標としつつ、部活動や学校行事にも取り組む学校生活を重視しています
- 理数科の取り組み:台湾研修、放射線講座、ロボット講座、理数探究発表、静岡大学工学部の実験実習講座などが県の紹介ページに挙げられています
- 学級数の目安:県の報告書によると、令和7年4月1日時点の入学定員は普通科280人(7学級)、理数科40人(1学級)です
この時点で、2校の違いが少し見えてきます。浜松北は「自主独立」「3大行事」といった生徒主体の校風を前面に出し、国際科で語学や海外との接点を打ち出しています。浜松南は、普通科に加えて理数科を持つ「理系の入口が用意された学校」です。もちろん、浜松北の普通科にも理系に進む生徒はいますし、浜松南の普通科から文系に進む生徒もいます。学科名だけで進路が決まるわけではない点は、押さえておいてください。
出典:静岡県「浜松北高等学校」学校紹介ページ/静岡県「浜松南高等学校」学校紹介ページ(いずれも2026年10月23日確認)
偏差値・合格ラインの比較
偏差値は、「みんなの高校情報」に掲載されている数字を使います。
浜松北高校
- 普通科:70
- 国際科:67
浜松南高校
- 理数科:64
- 普通科:61
普通科どうしを並べると、浜松北が70、浜松南が61で、差は9ポイントあります。一方で、浜松北の国際科(67)と浜松南の理数科(64)は、差が3ポイントです。「浜北は遠い存在、浜南は届く学校」とひとまとめにせず、どの学科を志望するのかで、見える距離がかなり変わることがわかります。
ここで注意したいのは、偏差値は入試の合否をそのまま示す数字ではないということです。静岡県の公立高校入試は、学力検査(5教科で250点満点)と調査書(内申点)などをもとに、選抜の仕組みの中で合否が決まります。偏差値は志望校選びの目安として使い、実際の判断は、中学校の先生との面談で出る学校ごとの資料と、県教育委員会が公開している最新の情報で行ってください。
浜松南の学力面については、次の記事で学調の点数との関係を整理しています。
志望校が決まっていても、「目安にあと数ポイント届かない」「内申点が少し足りない」という状況は、中3の秋にはめずらしくありません。入試まで約19週間という限られた期間では、苦手な単元に絞って戻るのか、内申点に直結する定期テストの対策を優先するのかで、使える時間の配分が変わります。学校の授業や塾だけでは手が回らない部分があるときは、静岡県に対応している家庭教師の料金を、無料で比べておくと、外の力を借りるかどうかの判断がしやすくなります。
入試の仕組み:県立2校はどう選抜されるか
浜松北も浜松南も県立高校なので、入試の基本の流れは同じです。令和9年度(2027年)の一般選抜は、2026年10月13日時点で県教育委員会の資料で確認した範囲で、次の日程です。
- 願書受付:2月16日(火)〜18日(木)正午まで
- 志願変更:2月24日(水)・25日(木)正午まで(1回に限り変更可)
- 学力検査・面接など:3月3日(水)・4日(木)
- 追検査:3月9日(火)
- 合格者発表:3月12日(金)正午以降
一般選抜の中には「学校裁量枠」と「共通枠」があり、先に学校裁量枠、続いて共通枠で合格者を決めます。志願するときは、枠を別々に選ぶのではなく、1校の1学科(科)に出願します。志願手続はWeb出願システムで行います。
2校の入試で押さえておきたいのは、次の2点です。
確認しておきたいこと
- 募集人員と配点は学校・学科ごとに違う:令和9年度の募集人員は、県教育委員会の発表で確認してください。浜松南は、共通枠で傾斜配点がある学校として県の基準情報に名前が挙がっています。どの学科にどう配点されるかは、県教育委員会の「公立高校をめざすあなたへⅠ」で必ず確認が必要です
- 学科の選び方で、受ける検査の準備が変わる:浜松北は普通科と国際科、浜松南は普通科と理数科があります。学科によって面接や検査の内容が異なる場合があるため、志望する学科の募集要項を確認してください
裁量枠と共通枠のしくみについては、次の記事に詳しくまとめています。
部活動・学校生活:2校の「活発さ」を数字と実績で見る
浜松北高校
県の学校紹介ページでは、運動部と文化部の両方が活発に活動していると紹介されています。全国大会等への出場実績として、次の部の名前が挙がっています。
- 令和4年度:洋弓、陸上、漕艇、放送、美術、百人一首、吹奏楽、科学の甲子園
- 令和5年度:洋弓、陸上、漕艇、放送、書道、吹奏楽、高校生模擬裁判選手権、日本数学オリンピック
- 令和6年度:漕艇、洋弓、囲碁、芸術部美術班、百人一首、合唱、放送、高校生模擬裁判選手権
運動部だけでなく、放送、百人一首、囲碁、合唱、模擬裁判といった文化系・探究系の活動でも全国の舞台に出ているのが目を引きます。また、県の事務事業報告書では、令和7年8月31日時点の全日制の生徒1,082人のうち、運動部に498人(46.0%)、文化部に538人(49.7%)が所属し、どの部にも入っていない生徒は46人(4.3%)でした。約95%の生徒が何らかの部に入っている計算です。
浜松南高校
浜松南の県の紹介ページでは、部活動や行事の細かな内容は書かれておらず、全国大会等の出場実績の形で次のように示されています。
- 令和6年度:全国高校総体に女子ハンドボール部、陸上部男子棒高跳が出場
- 令和7年度:全国高校総体に水泳部男子50m自由形が出場。東海高校総体に女子バスケットボール部が出場
- 令和8年度:全国高校総体に陸上部女子棒高跳が出場。東海高校総体で女子バスケットボール部がベスト8、水泳部女子800m自由形が出場
運動部が全国・東海の舞台に立つ年が続いています。部活動への加入状況は、浜松南については、加入率を読み取れる数字を確認できませんでした。浜松北のように加入率を比べることはできないため、部活動を重視するご家庭は、志望する部活の活動日や練習時間を、学校説明会や体験入学で直接確認することをおすすめします。
どちらの学校にも共通して言えるのは、「進学校だから部活はあきらめる」という学校ではないことです。ただし、部活と学習の両立は、入学後の時間の使い方で大きく変わります。部活に打ち込む生徒ほど、帰宅後の学習時間をどう確保するかが課題になります。
大学進学実績:県の報告書で確認できる範囲
大学ごとの合格者数は、県の事務事業報告書には載っていないため、ここでは卒業生の全体の動向を見ます。令和6年度の卒業生について、各校の報告書で確認できた数字は次のとおりです。
浜松北高校(全日制)
- 卒業生:360人(普通科320人、国際科40人)
- 大学・短大に進学:208人(普通科179人、国際科29人)
- 進学準備者(いわゆる浪人):147人(普通科137人、国際科10人)
浜松南高校(全日制)
- 卒業生:359人(普通科320人、理数科39人)
- 大学・短大に進学:328人(普通科291人、理数科37人)
数字の読み方には注意が必要です。浜松北は、卒業時に進学準備者(浪人)として進路を決める生徒が一定数いる学校であることが、数字から見て取れます。これは、第一志望の大学にこだわって1年間かけて挑戦する生徒が多い、とも読めますが、報告書の数字だけから理由までは断定できません。浜松南は、卒業生の大半が大学・短大に進んでいます。
どちらが「進学実績がよい」かは、この数字だけでは決められません。国公立・難関私立大学への合格者数は、学校のホームページや学校説明会の資料で確認してください。また、国際科では、令和6年度に英語検定1級が2人、準1級が4人、2級が10人という数字が、浜松北の報告書にありました(普通科は準1級18人、2級55人)。英語に力を入れたい生徒にとって、国際科は一つの判断材料になります。
出典:静岡県立浜松北高等学校「事務事業及び予算の執行実績(令和6年度分)」/静岡県立浜松南高等学校「事務事業及び予算の執行実績(令和6年度分)」(いずれも2026年10月23日確認)
アクセス・通学:自転車か、電車・バスか
通学方法の内訳も、県の報告書から確認できました。2校の違いがはっきり出る部分です。
浜松北高校(令和7年8月31日現在、全日制)
- 所在地:浜松市中央区広沢1丁目30-1
- 自転車:51.3%
- 電車(JR東海):13.8%、その他の電車13.1%
- バス:13.3%
- 徒歩:6.2%
- 出身地:浜松市が87.0%
浜松南高校(令和6年度分の報告書)
- 所在地:浜松市中央区米津町961
- 自転車:91.7%
- 公共交通機関:7.1%
- 出身地:浜松市が89.1%、湖西市が8.1%
浜松南は、通学の9割以上が自転車です。自宅から自転車で通える範囲に住んでいるかどうかが、通学のしやすさに直結します。一方、浜松北は、自転車が約半数ですが、電車やバスで通う生徒が約4割と、広い範囲から通っています。遠方から通う場合は、朝の電車やバスの本数と、部活動の終了時刻との兼ね合いを、事前に確認しておくと安心です。実際の経路や所要時間は、お住まいの地域から調べてください。
アドバイザー視点:どちらを選ぶべきか
ここまでの情報をもとに、私の考えを整理します。どちらかを一方的におすすめするのではなく、「どんなお子さんにどちらが合いやすいか」という見方です。
浜松北高校が合いやすい生徒
- 学校祭や合唱大会、運動会といった行事に全力で取り組みたい
- 国際科で英語や海外との接点を増やしたい
- 学校のペースに合わせるより、自分で計画して動くほうが得意
- 偏差値の目安に届いていて、あと一歩の上積みが見込める
浜松南高校が合いやすい生徒
- 理数科で、実験や探究発表、大学の講座など、理系分野の体験を重ねたい
- 自転車で通える距離に住んでいる
- 進学を第一の目標にしつつ、部活動や行事にも取り組みたい
- 現在の学力に対して、無理なく通える学校を探している
よくある失敗は、「偏差値が高いほうに行けるなら行く」と決めて、入学後に通学の負担や学校の雰囲気とのずれに悩むことです。逆に、「無理をしたくないから低めの学校に」と決めて、挑戦できたはずの機会を逃すのも、もったいない選択です。大切なのは、今の学力に、入試日までの伸びしろを足して、本人が通いたいと思えるかどうかです。学校説明会や文化祭に足を運び、実際の雰囲気を見ることを強くおすすめします。
- 浜松北と浜松南で迷っていて、あと数ポイントの上積みが必要かもしれない
- 部活動の時間が長く、塾に通う時間が取りにくい
- 内申点(調査書)に不安があり、学校の進度に合わせた対策をしたい
- 理数科や国際科を考えていて、苦手教科だけ個別に見てもらいたい
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家庭教師を検討するときに、何をどう比べればよいかは次の記事で詳しくまとめています。
→ 静岡で家庭教師を選ぶ方法|料金相場・塾との違い・失敗しない比べ方
併願の考え方:2校だけで決めない
静岡県の公立高校は、一般選抜で受検できるのは1校1学科(科)です。つまり、浜松北と浜松南を同時に受けることはできません。第一志望を決めたうえで、私立高校の入試をどう組み合わせるかが、併願の考え方の中心になります。
考え方の流れを3つに整理します。
- 第一志望を浜松北にする場合:学力検査の得点を伸ばす余地があるかを、秋から冬の模試や過去問の結果で確認する。そのうえで、万一のときの私立高校(併願)の条件を、先に学校へ確認しておく
- 第一志望を浜松南にする場合:普通科か理数科かを決める。理数科は定員が40人と少ないため、普通科とあわせて、募集の枠や選抜方法を県の資料で確認する
- どちらでも迷う場合:志願変更の期間(2月24日・25日)の使い方も含めて、中学校の先生と、出願の最終判断をいつ行うかを決めておく
私立高校の併願の仕組み(併願の種類、入学の確約の有無、合格発表の時期など)は、学校ごとに異なります。次の記事で一般的な流れをまとめています。
入試までの残り期間の使い方
今日(2026年10月23日)から学力検査の3月3日(水)まで、約19週間です。この間には、2学期末の定期テスト、冬休み、3学期の実力テストがあります。志望校を決める時期と、点数を伸ばす時期は、重なっています。
残り19週間の動き方
- 10月下旬〜11月:志望校の候補を2〜3校に絞る。学校説明会や見学会があれば参加する。2学期の定期テストで内申点に関わる教科を落とさない
- 12月:志望校の過去問を解き、5教科250点のうち、どの教科で何点を拾えるかを確認する。冬休みの勉強計画を立てる
- 1月:苦手教科の失点パターンをつぶす。私立の併願先の出願・受験日程を確認する
- 2月:願書の準備(Web出願システム)。2月16日〜18日正午までの受付期間と、志願変更の期間を確認する
過去問の使い方や、あと10点・20点の詰め方については、次の記事で具体的に整理しています。
→ 静岡県立入試で合格ラインに足りないときの逆転策|あと10点・20点の詰め方
残り19週間のうち、志望校選びに悩んで時間を使いすぎると、肝心の得点を伸ばす期間が短くなります。志望校を決めるための情報収集は、年内に区切りをつけて、そこから先は得点力を上げる勉強に集中する。この切り替えのタイミングを、早めに決めておくことをおすすめします。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、静岡県の入試(内申点・学調・学力検査)への対応が大きく違います。先に資料をそろえて、同じ項目で見比べてから話を聞くのが、失敗しない近道です。
資料が届いたら確認したいこと
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)と、入試までの総額
- 浜松地区の県立上位校(普通科・理数科・国際科)の入試に対応した指導の経験があるか
- 苦手教科だけ、または内申点に関わる教科だけを選んで指導してもらえるか
- 講師が合わなかったとき、無料で交代できるか
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まとめ:浜松北と浜松南は「上下」ではなく「学科と暮らし方」で選ぶ
- みんなの高校情報の偏差値は、浜松北が普通科70・国際科67、浜松南が理数科64・普通科61。普通科どうしの差は9ポイント、浜松北の国際科と浜松南の理数科の差は3ポイント
- 浜松北は普通科・国際科、浜松南は普通科・理数科。学科の違いが、入学後の学び方を分ける
- 令和9年度の一般選抜は、願書受付2月16日〜18日正午まで、学力検査3月3日・4日、合格者発表3月12日正午以降。受検できるのは1校1学科
- 部活動は、浜松北は約95%の生徒が加入。浜松南は運動部が全国・東海大会に出場している
- 令和6年度の卒業生は、浜松北が大学・短大に208人、進学準備者が147人。浜松南は大学・短大に328人
- 通学は、浜松南が自転車9割超、浜松北は自転車が約半数で電車・バスも多い
次にやることは3つです。志望する学科の募集要項を県教育委員会の資料で確認すること、学校説明会や見学会の日程を調べること、中学校の先生との面談で、今の成績と志望校の距離を具体的に聞くことです。偏差値の数字は入口にすぎません。通う3年間を想像できる学校を、残りの期間で見つけてください。







