塾に通っていることと、成績が上がることは、別の話です。
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毎週きちんと通い、月謝も払っている。それなのに、通知表の数字も模試の結果も動かない。中3の秋にこの状態だと、保護者は「塾を変えるべきか」「本人のやる気の問題か」と考え込み、本人は「自分は塾に行っても伸びない」と自信をなくしてしまいます。
私自身、静岡県内で10年以上にわたり塾講師として中学生を指導してきました。成績が動かない生徒には、塾か本人のどちらか一方に原因があるのではなく、「授業の内容」「家での使い方」「入試とのズレ」のどこかに、小さな穴があることがほとんどでした。
結論から言うと、塾に通っているのに成績が上がらないときは、塾をやめる・変えると決める前に、「何が原因で点が動いていないのか」を分けて確かめるのが先です。原因が分かれば、今の塾に何を頼むか、別の方法を足すか、切り替えるかを、落ち着いて決められます。
この記事では、原因の見分け方、塾の担当者に聞きたいこと、見直しの選択肢(塾の継続・塾の変更・家庭教師・通信教育)の比べ方、入試までの時間の使い方を順に整理します。
まず確認したい:「成績が上がらない」とは何の成績か
「成績が上がらない」と言っても、見ている数字によって原因は変わります。最初に、どの数字が動いていないのかをはっきりさせてください。
動いていない数字のチェックリスト
- 学校の定期テストの点数が動いていない
- 通知表の評定(内申点)が動いていない
- 模試の偏差値や合格判定が動いていない
- 塾のテストの点数は取れているのに、学校のテストや模試では取れない
- どの教科も動いていない/特定の教科だけが動いていない
たとえば、塾のテストは取れるのに学校のテストで取れない場合は、塾で扱っている範囲と学校の出題範囲・出題の仕方がずれている可能性があります。逆に、定期テストは取れるのに模試で取れない場合は、教科書の範囲の外に出ると対応できていない(入試形式の問題に慣れていない)可能性があります。
静岡県の公立高校の一般選抜は、調査書(内申点)と学力検査の両方で判断される仕組みです。内申点は学校の授業・定期テスト・提出物などの積み重ね、学力検査は入試当日の5教科の得点です。どちらの数字が止まっているのかで、打つ手は変わります。
塾に通っても伸びない主な原因4つ
現場で見てきた中で、多いパターンを4つに分けます。複数が重なっているお子さんも珍しくありません。
原因1:授業を「聞いて、わかったつもり」になっている
授業中は解説がわかる。板書も写している。けれども、自分ひとりで問題を解こうとすると手が止まる。これは、わかることとできることが別だからです。
特に数学と英語は、解説を聞いて納得しただけでは点になりません。説明を聞いた直後に、自力で同じタイプの問題を解き直すところまでやって、はじめて定着の入り口に立ちます。授業が「見て終わり」になっていないか、確認してみてください。
原因2:塾の学習内容と、学校・入試とのズレがある
塾によっては、学校より先の範囲を進めたり、別の教材で進めたりします。それ自体は悪いことではありませんが、中3の2学期は、学校の定期テストが内申点に直結する時期です。塾の進度と学校の進度が離れていると、学校のテスト前に、範囲の復習が間に合わなくなることがあります。
また、入試は教科書の内容を土台にしながらも、出題の形式や時間配分があります。範囲は終わっているのに、入試形式の問題に取り組んだ経験が少ない場合、点が伸びにくくなります。「何を、いつまでに、どの形式で」やっているのかを、一度整理する価値があります。
原因3:集団のペースやレベルが、本人に合っていない
集団授業は、多くの生徒に合わせて進みます。そのため、すでにわかっている単元は時間が余り、つまずいている単元は理解しきる前に先へ進みます。本人が「わからない」と言い出しにくい性格だと、わからないまま通い続けることになります。
特に、1・2年生の内容が抜けている場合は要注意です。中3の内容は、それまでの単元の上に積み上がっています。土台が抜けたまま新しい単元の授業を受けても、手応えがないまま時間だけが過ぎます。
原因4:家での復習が、宿題をこなすだけで終わっている
塾の週あたりの授業時間は、限られています。成績を動かすのは、授業のあとに家でどれだけ復習し、間違いを直したかです。宿題をこなすことで精一杯になり、間違えた問題の直しや、解き直しをする時間が残っていないケースは、とても多く見てきました。
部活が終わるのが遅く、帰宅後は食事と入浴で時間がなくなる。そのうえ塾の宿題も出る。こうした状況では、「やったこと」はあっても、「できるようになったこと」が増えにくいのです。これは本人の怠けではなく、時間の設計の問題です。
定期テストでの点の取り方については、次の記事でも整理しています。
→ 静岡県の中学生、定期テストで点が取れない原因と立て直し方|内申点を上げる勉強法
原因を見分ける:今日からできる3つの確認
原因を特定するために、塾に何かを依頼する前に、家庭でできる確認が3つあります。
家庭でできる確認
- 直近の定期テストと模試の答案を並べ、失点の種類を分ける(知識不足・計算や読み違いなどのミス・時間不足・問題形式への不慣れ)
- 塾のテキストの間違い直しノートを見せてもらい、同じ種類の間違いが繰り返されていないか確認する
- 1週間の帰宅後の時間を書き出し、塾の宿題以外に「復習」と「間違い直し」に使えている時間が何分あるかを確認する
答案の見方については、偏差値が伸びないときの記事が参考になります。
→ 静岡県の中3、偏差値が伸びない・停滞する原因と対策|模試の見方
この確認で、「知識がそもそも抜けている」のか、「わかっているのに点を落としている」のかが見えてきます。前者は単元の戻り学習が必要で、後者は解き方や見直しの習慣を変えるだけでも動く余地があります。
ここで、点数の差が見えてきた段階で考えたいのが、手段の比べ方です。塾の授業を増やすだけでは、原因が「単元の抜け」や「時間の設計」にある場合、同じ状態が続くことがあります。入試まで残りの期間が限られているので、静岡県に対応している家庭教師の料金を、無料で比べておくと、今の塾に何を足すか、何を変えるかの判断がしやすくなります。
塾の担当者に確認したいこと
見直しの前に、今の塾の担当者との面談を一度設けることをおすすめします。責める場ではなく、情報をそろえる場として使います。次の項目を、そのまま聞いて構いません。
面談で聞いておきたいことのチェックリスト
- 本人の現在の弱点は、どの教科のどの単元だと見ているか
- 塾の進度と、学校の定期テストの範囲は、どれくらい合っているか
- 入試形式の問題に取り組むのは、いつから、どのくらいの量か
- 授業のあとに、本人の質問に個別に対応してもらえる時間はあるか
- 志望校に対して、今の学力は目安のどの位置にあると見ているか
- 入試までの学習計画(教科ごと、月ごと)を示してもらえるか
この答えが具体的で、本人の状況に合わせた内容であれば、今の塾に任せたうえで家庭の使い方を整える、という選択が有力です。一方で、答えが一般的な内容にとどまり、本人の弱点に合わせた計画が出てこない場合は、別の方法を足すことも含めて検討するタイミングです。
なお、特定の塾を良い・悪いと決めつける必要はありません。塾にはそれぞれ得意な生徒像があり、今のお子さんの状況と合うかどうかが、判断の基準です。
見直しの選択肢:4つの方法を公平に比べる
見直しの方向は、大きく4つあります。どれが優れているということではなく、お子さんの原因と、家庭の状況に合うものを選びます。
選択肢1:今の塾を続けて、家庭の使い方を整える
- 向いている場合:原因が「家での復習不足」や「間違い直しの習慣」にある。塾の指導内容や進度には大きな問題を感じない
- メリット:環境を変えないので、本人の負担が少ない。友達や通塾の習慣を維持できる
- 注意点:原因が単元の抜けにある場合、授業を受けるだけでは穴が埋まらないことがある
選択肢2:別の塾に変える
- 向いている場合:塾の進度や指導形式(集団か個別か)が本人に合っていない。志望校の対策に強い塾に変えたい
- メリット:指導形式や雰囲気が変わることで、気持ちを切り替えやすい
- 注意点:入試まで時間が限られる中での切り替えは、慣れるまでに時間がかかる。入塾金や教材費が追加でかかる場合がある。通塾時間や部活との両立も確認が必要
選択肢3:家庭教師を併用する、または切り替える
- 向いている場合:苦手単元だけをピンポイントで戻りたい。学校の進度に合わせて内申点対策をしたい。部活や通塾時間の制約が大きい
- メリット:一人ひとりの弱点に合わせて進められる。自宅で受けられるので移動時間がない。質問しやすい環境をつくりやすい
- 注意点:講師との相性で効果が変わる。会社によって月謝・入会金・教材費・交代制度が大きく違うため、比べずに決めると費用面でも合わなくなることがある
選択肢4:通信教育や映像授業を足す
- 向いている場合:自分で計画を立てて進められる。費用をおさえたい。特定の単元を繰り返し見直したい
- メリット:費用が比較的おさえやすく、時間や場所の自由度が高い
- 注意点:やる気や自己管理に左右されやすい。わからない点をその場で質問しにくい場合がある
この4つの中で、「塾に通っているのに伸びない」お子さんに家庭教師が合うのは、次のような場合です。
- 集団の授業ではつまずきを言い出しにくく、1対1のほうが本人が質問しやすい
- 1・2年生の内容に抜けがあり、そこから戻る必要がある
- 部活で帰宅が遅く、通塾の時間をこれ以上増やせない
- 学校の定期テストの範囲に合わせて、内申点対策を進めたい
もちろん、塾を続けたまま、苦手な教科だけ家庭教師を足すという使い方もできます。全部を入れ替える必要はありません。
- 塾に通っているのに、定期テストや模試の点数がなかなか動かない
- 集団授業では質問しにくく、わからないところをそのままにしている様子がある
- 1・2年生の単元に抜けがあり、苦手なところから戻って学び直したい
- 部活で帰宅が遅く、通塾の時間をこれ以上増やすのが難しい
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家庭教師を検討するときに、何をどう比べればよいかは次の記事で詳しくまとめています。
→ 静岡で家庭教師を選ぶ方法|料金相場・塾との違い・失敗しない比べ方
塾と家庭教師の違いを、通塾が難しい家庭の視点で整理した記事もあります。
→ 塾と家庭教師どっちがいい?静岡県の中学生・通塾が難しい家庭の選び方
教科別に見る、塾に通っても動かないときの典型例
原因は教科によっても現れ方が違います。お子さんの苦手教科に近いものを読んで、先ほどの4つの原因と照らし合わせてみてください。
数学:解説は理解できるのに、自力で解けない
授業の板書を写し、解説に納得して終わっていると、解き方の手順を自分で再現する練習が足りません。授業のあとに、その日に習った問題を何も見ずに解き直し、できなかった問題に印をつけて、数日後にもう一度解く。この繰り返しが基本です。計算ミスが多い場合は、途中式を省かない習慣づけだけでも点が動くことがあります。
英語:単語や文法は覚えているのに、長文やリスニングで点が取れない
知識はあっても、文章を読む速度や、音声を聞き取る経験が足りないと、入試形式の問題で点が伸びません。毎日の音読や、短い英文を聞いて書き取る練習のように、少量でも続けられる形に落とすほうが効果的です。
国語・理科・社会:暗記したのに、記述や資料問題で失点する
用語の暗記だけで止まっていて、資料やグラフを読み取って答える練習が少ないパターンです。間違えた問題を、「知らなかった」のか「読み取れなかった」のかに分けて記録すると、次に何を練習すればよいかが見えてきます。
どの教科でも共通するのは、「授業を受けた量」ではなく、「自力でできるようになった量」で進み具合を測ることです。
やってはいけない見直し方
焦りから、かえって遠回りになる動き方もあります。次の3つは避けたいところです。
避けたい動き方のチェックリスト
- 原因を確かめないまま、塾の授業数や講座を増やす(本人の復習時間がさらに削られる)
- 成績が動かないことを、本人のやる気や才能のせいにする
- 入試まで時間がないからと、複数の教材や塾を一度に足して、結局どれも中途半端になる
特に、授業数を増やすと、復習や間違い直しに使う時間が減り、かえって定着が進まなくなることがあります。増やす前に、1週間の時間の使い方を見直してください。
また、本人を責めると、わからないことを隠すようになります。「どこがわからないか」を言いやすい雰囲気を保つことが、見直しの前提です。
入試までの時間の使い方
静岡県の公立高校の学力検査は、3月3日(水)・4日(木)です。今日、10月20日から数えると、あと134日あります。長いようで、定期テストや模試、冬休み、年末年始を引くと、まとまって使える時間は意外と限られます。
この期間を、次の3段階に分けて考えると動きやすくなります。
- 10月下旬〜11月:原因の特定と、塾や学習方法の見直し。2学期の定期テストで、内申点につながる点数を取りに行く
- 12月〜冬休み:入試で点になる範囲に絞り、苦手単元の穴をふさぐ。入試形式の問題に慣れ始める
- 1月〜入試直前:過去問や模試で時間配分を確認し、間違えた問題の見直しに集中する
見直しを始めるのは、早いほど選択肢が残ります。逆に、年明けに慌てて環境を変えると、慣れる時間がなくなってしまいます。
志望校の目安や、併願の組み立てについては、各学校の入試情報を確認し、中学校の進路面談で相談してください。市立高校などは市ごとの定めがあるため、中学校への確認が欠かせません。
入試日までに、迷う時間を短くするには、いまの時点で選択肢の材料をそろえておくことです。静岡県に対応している家庭教師の資料を先に取り寄せておくだけでも、塾の担当者との面談で、比べながら話ができます。
学力検査まで134日。いまから動けば、定期テストを1回、模試を数回、冬休みを丸ごと使える計算です。資料を取り寄せて比べておく程度なら、塾を続けたままでも、今週中にできます。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、静岡県の入試(内申点・学調・学力検査)への対応が大きく違います。先に資料をそろえて、同じ項目で見比べてから話を聞くのが、失敗しない近道です。
資料が届いたら確認したいこと
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)と、入試までの総額
- 今の塾に通いながら、苦手な教科だけ併用できるか(回数や曜日の柔軟さ)
- 1・2年生の内容まで戻って教えてもらえるか、定期テストの範囲に合わせてもらえるか
- 講師が合わなかったとき、無料で交代できるか
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まとめ:塾を変える前に「原因の分解」から
塾に通っているのに成績が上がらないときの見直しを、振り返ります。
- まず、定期テスト・内申点・模試のうち、どの数字が動いていないのかをはっきりさせる
- 原因は主に4つ。授業を聞いただけで終わっている/塾と学校・入試のズレ/集団のペースが合わない/家での復習時間が足りない
- 答案の失点の種類と、間違い直しの状況、帰宅後の時間の使い方を、家庭で確認する
- 塾の担当者には、弱点の見立て、学校との進度のズレ、入試までの計画を具体的に聞く
- 見直しの選択肢は、塾の継続+家庭の整備、塾の変更、家庭教師の併用・切り替え、通信教育の4つ。原因と家庭の状況に合うものを選ぶ
- 授業数を増やす前に、復習と間違い直しの時間を確保する
次にやることは、今週中に答案を並べて失点の種類を分け、塾の担当者との面談日を決めることです。そのうえで、必要なら家庭教師などの選択肢の資料をそろえ、同じ項目で比べてみてください。塾か家庭教師かの二択にせず、お子さんの原因に合う組み合わせを探すことが、残り134日を無駄にしない進め方です。







