「特待って、取れたら学費はいくら変わるんですか」。中3の秋の面談で、保護者の方からこの質問を受けることがよくあります。
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私立高校は「お金がかかるから」と最初から選択肢を外してしまうご家庭もあれば、「特待が取れれば安くなる」と期待だけが先行するご家庭もあります。どちらも、数字と条件を確かめないまま判断している点は同じです。私自身、静岡県内で10年以上にわたり塾講師として中学生を指導してきましたが、私立の学費は「思っていたより差が小さかった」「逆に入学時にまとまった費用が必要だった」と、聞くたびに印象が変わる分野だと感じています。
結論を先に言うと、私立高校の学費は「授業料」と「それ以外の費用」に分けて考えると見通しが立ちます。授業料は国と県の支援で軽くなる場合があり、特待や併願の条件は学校ごとにまったく違うので、必ず学校の募集要項で確かめる必要があります。この記事では、県が公開している私学助成の資料で確認できる範囲の数字と、特待・併願優遇の見方、公立高校との併願で確認したい点、入試までの動き方を順に整理します。
私立高校併願の基本的な仕組みは、別の記事にまとめています。先にそちらを読んでおくと、この記事の内容がつながりやすくなります。
私立高校の学費は、まず2つに分けて考える
私立高校の学費を調べると、金額が学校ごとにばらばらで、何を足し合わせればよいのか分からなくなります。そこで、費用を次の2つに分けて見ることをおすすめします。
私立高校でかかる費用の分け方
- 授業料:毎月かかる学費の中心。国の就学支援金や県の支援で軽くなる場合がある
- 授業料以外の費用:入学時の納付金(入学金など)、施設費や教育充実費、教材費、制服・体操服、修学旅行の積立、通学費など。学校によって名目も金額も違う
募集要項や学校案内には、これらが「入学時にかかる費用」「年間にかかる費用」といった形で載っています。ただし、載せ方は学校ごとに違います。同じ「諸費用」という言葉でも、含まれるものが違うことがあるので、2校以上を比べるときは、必ず同じ項目に分けて並べ直してください。
学費を比べるときのチェックリスト
- 入学を決めるときに、いつまでに何円を納めるのか(入学金など)
- 入学後に毎月、毎学期かかるお金の名目と金額
- 制服・体操服・教材・タブレット端末などが、学費に含まれているか、別払いか
- 修学旅行や校外学習の費用が、積立なのか、その都度なのか
- 3年間の合計で、おおよそいくらになるか(学校に確認できるか)
授業料の支援:県の資料で確認できること
授業料の負担は、国の就学支援金と、静岡県の私立学校就学支援を合わせて軽くなる仕組みがあります。静岡県健康福祉部が出している「令和8年度版 私立学校への助成制度概要」で確認できた内容を、数字だけ整理します(今年度の資料です)。
授業料の支援額(令和8年度の資料より)
- 対象:静岡県内の私立の高等学校(全日制・通信制)などに在学し、日本国内に住所があるなど、資料に示された要件を満たす生徒。対象になる外国籍の生徒の条件も資料に別に書かれています
- 支援額の上限(月額):就学支援金の新制度で、概ねの世帯年収が270万円未満の場合は、国の就学支援金38,100円に県の上乗せ4,650円を加えて42,750円。同270万円以上の区分では、資料の表に38,100円と示されています
- 上限額の意味:通う学校の授業料が支援額を下回る場合は、授業料が上限になります。授業料が支援額を上回る分は、保護者の負担です
- 申請:各助成制度を使うには、学校に申請書などを出す必要があります。詳しくは各私立学校の事務担当者に確認、と資料にあります
ここで注意したいのは、資料は令和8年度に在学する生徒の分だという点です。2027年4月に入学する今の中3は、令和9年度の制度が適用されます。支援額や所得の区分が変わる可能性があるので、「去年の資料でこうだった」と決めつけず、受験する学校の説明会や、県の私学振興課の案内で最新を確かめてください。
授業料以外の支援(奨学給付金など)
- 奨学給付金:教科書費、教材費、学用品費、教科外活動費など、授業料以外にかかる費用を支える、返還不要の給付です。資料では、生活保護世帯や住民税非課税世帯、世帯年収が一定額未満の世帯などに、区分ごとの年額が示されています
- 家計急変:会社の倒産や失業など、自分の責任ではない理由で収入が減ったときに、授業料などの納付が難しくなった家庭を支援する制度もあります。入学後に事情が変わったときも、学校の事務に早めに相談できます
- 遠距離通学費:対象になる家庭に、月額の通学費が15,000円を超える部分の一部を助成する制度もあります。対象や割合は資料に書かれていますので、該当しそうな場合は学校に確認しましょう
こうした支援は、世帯の収入や、お住まいの地域、お子さんの状況によって使えるかどうかが変わります。「うちは対象になるのか」は、保護者の方が自分で判断せず、志望する学校の事務に具体的に聞くのが確実です。
出典:静岡県「令和8年度版 私立学校への助成制度概要」(PDF)(2026年10月25日確認)/奨学給付金の案内は静岡県のページに掲載されています(こちらは本文の詳細までは確認していません)
特待・併願優遇は「学校ごとに別の制度」と考える
特待生制度についても、はっきり書いておきます。静岡県の私立高校の特待の基準や、併願優遇の条件は、私が公式情報として確認できていない学校がほとんどです。そのため、この記事では学校ごとの条件や金額を書きません。「A校は何点で特待」といった数字は、ネット上にも出回っていますが、年度や学科で変わるうえ、出所の分からない情報も多いので、募集要項で確認したものだけを信じてください。
一般的に、特待や優遇の制度は次のような点が学校ごとに違います。
特待・優遇で確認したいこと
- 対象の学科・コース:特進、進学、総合など、コースによって制度が違うことがあります
- 判定の資料:入試の点数、中学校の内申点(調査書)、面接、部活動などの実績、英検などの資格のどれを使うのか
- 免除される範囲:授業料だけか、入学金や施設費まで含むのか。免除は全額か、一部か
- 期間と更新:1年間だけか、3年間続くのか。進級時に成績の基準があり、下回ると外れる場合があるのか
- 単願と併願:「その学校に必ず入学する」ことを約束する単願と、公立高校の結果を見て決める併願とで、条件が違うか
- 公立を受けた場合の扱い:公立の合格発表後に、入学の手続きをいつまでにすればよいのか
「特待が取れるかどうか」を、事前に学校へ確認できる場合もあります。多くの学校は、秋から冬にかけて個別相談会や入試説明会を開いています。そこで、お子さんの内申点や模試の結果を持っていき、「この成績だと、どの区分の対象になりそうか」を聞いておくと、見通しが立ちます。ただし、相談で得た目安は合格や特待を保証するものではありません。口頭の説明は、後で募集要項と食い違っていないかも確かめてください。
よくある行き違い
私が見てきた範囲で、特に多い行き違いは次の3つです。
- 特待に「入学金の免除」まで含まれていると思い込んでいた
- 特待は3年間続くと思っていたが、進級時に基準があった
- 併願のつもりで受けた学校が、実は単願でないと優遇されない条件だった
どれも、募集要項の細かい注意書きに書いてあることです。「特待の対象になりそう」と聞いた時点で、その場で募集要項の該当ページを開いて、条件を声に出して読み合わせるくらいがちょうどよいと思います。
公立との併願で、お金と日程の面から確認したいこと
令和9年度(2027年)の静岡県公立高校の一般選抜は、県教育委員会の資料(2026年10月13日時点)で確認した範囲で、次の日程です。
- 願書受付:2月16日(火)〜18日(木)正午まで
- 志願変更:2月24日(水)・25日(木)正午まで(1回に限り変更可)
- 学力検査・面接など:3月3日(水)・4日(木)
- 追検査:3月9日(火)
- 合格者発表:3月12日(金)正午以降
私立高校の入試は、公立より先に行われる学校が多いのですが、日程は学校ごとに違い、令和9年度の日程が未発表の学校もあります。必ず各校の募集要項で確認してください。
併願で、お金に関わる確認ポイントを整理します。
併願で確認したいこと(お金と手続き)
- 入学手続きの期限:私立の合格後、入学金などをいつまでに納めるのか。公立の合格発表(3月12日)より前に期限が来る場合は、どう扱われるのか
- 納めた費用の扱い:入学を辞退したときに、納めたお金のうち戻るものがあるのか、戻らないのか
- 公立が不合格だった場合:私立に進むとして、授業料や入学時の費用は何円になるのか。支援の申請はいつ、どう行うのか
- 再募集:公立の再募集の日程(願書受付3月16日・17日、合格者発表3月25日)と、私立の入学手続き期限が両立するか。なお、一般選抜・特別選抜に合格した人は再募集に志願できません
辞退時に費用がどうなるかは、学校ごとの規定です。ここも募集要項や入学手続きの案内の文面で確かめるしかありません。
公立の合格ラインに届くかどうかで、併願の組み立てが変わります。あと数点が足りないときの詰め方は、次の記事で具体的に整理しています。
→ 静岡県立入試で合格ラインに足りないときの逆転策|あと10点・20点の詰め方
私立の特待に挑戦するのも、公立の合格ラインを目指すのも、結局は「入試の得点を上げる」という同じ課題に行き着きます。内申点が少し足りない、入試の得点があと一歩届かないという状況は、中3の秋にはめずらしくありません。そんなとき、学校の授業や塾だけでは手が回らない部分を補う手段として、静岡県に対応している家庭教師の料金を、無料で比べておくと、学費の計画と合わせて家庭の負担を見通しやすくなります。
「入試の得点で変わる」を、どう受け止めるか
この記事のタイトルにある「入試の得点で変わる考え方」について、塾講師としての考えを書きます。
特待や優遇の判定に入試の得点が使われる学校では、同じ学校を受けても、得点によって学費が変わる可能性があります。ここで大事なのは、特待を目標にして勉強するのではなく、第一志望の学力検査に向けた勉強の結果として、特待の判定にも良い影響が出ることがあるという順番で考えることです。
特待を意識しすぎたときに起きやすいこと
- 私立の入試対策に時間を割きすぎて、公立の5教科の学習が手薄になる
- 「特待が取れなければ行かない」と条件を狭めすぎて、併願の選択肢が減る
- 特待の基準を満たすことが目的になり、入学後の学び方や通学のしやすさの確認がおろそかになる
お金の面で私立を選ぶとき、特待の有無だけでなく、通学の距離と時間、学校の雰囲気、部活動、卒業後の進路も含めて考えるのが、後悔の少ない決め方です。学費が少し高くても、お子さんが毎日楽しく通える学校の方が、3年間を通して力が出ることもあります。逆に、特待で安くなっても、通学に1時間半かかって体力を消耗してしまえば、本末転倒です。
家庭で話し合っておきたいこと
- 私立に進むとしたら、3年間の学費として、家庭が無理なく出せるのは年間いくらか
- お子さんは、公立と私立のどちらに行きたいのか。その理由は何か
- きょうだいの進学の予定がある場合、数年後の学費は大丈夫か
- 支援の対象になりそうか、いつまでに誰に確認するか
お金の話は、お子さんの前で話しにくいと感じるご家庭も多いと思います。ただ、お子さんが「うちの経済状況を考えて、行きたい学校をあきらめる」ことのないよう、必要な範囲で一緒に整理しておくと、後で気持ちの行き違いが起きにくくなります。
- 公立の合格ラインに、あと少し届くかどうかの位置にいる
- 私立の特待や併願優遇の判定に、入試の得点や内申点が関わりそうで不安がある
- 部活動や習い事で時間が限られ、塾に通う余裕が少ない
- 学費の負担を考え、入試前に学習面の費用も見通しておきたい
家庭教師比較くらべーるなら、静岡県に対応している家庭教師会社の料金や口コミを見比べて、気になる会社の資料を無料でまとめて取り寄せられます。
家庭教師を検討するときに、何をどう比べればよいかは次の記事で詳しくまとめています。
→ 静岡で家庭教師を選ぶ方法|料金相場・塾との違い・失敗しない比べ方
塾・家庭教師・通信教育:学習の費用も合わせて考える
私立の学費を考えるとき、見落としやすいのが、入試に向けた学習の費用です。学費の計画と一緒に、塾や家庭教師にかける費用も整理しておくと、家計全体の見通しが立ちます。
3つの選択肢の特徴
- 塾:集団授業で、同じ志望校を目指す仲間がいる。授業のペースは塾に合わせる必要があり、通塾の時間もかかる。費用は塾や学年によって異なる
- 家庭教師:自宅で1対1。苦手な単元に絞って戻ったり、部活の予定に合わせて曜日を決めたりしやすい。費用は会社や講師、地域、学年によって異なる
- 通信教育:自分のペースで進められ、費用を抑えやすい傾向がある。一方で、質問できる相手や、サボったときの管理は家庭に任される部分が大きい
どれが優れているというより、お子さんの性格、部活動の予定、苦手な教科の状況によって合う形が変わります。たとえば、「通塾の時間が取れない」「苦手な単元だけ戻りたい」「内申点に関わる定期テストの対策を、学校の進度に合わせて進めたい」という場合は、家庭教師が合いやすい選択肢です。塾と家庭教師の違いについては、次の記事でも詳しく書いています。
→ 塾と家庭教師どっちがいい?静岡県の中学生・通塾が難しい家庭の選び方
家庭教師の費用は、会社や地域、学年、指導の頻度によって大きく幅があります。金額だけで決めず、入会金や教材費の有無、講師の交代制度、静岡県の入試への対応まで、同じ項目で比べてください。私立の学費と合わせて、入試までに必要な総額を一度書き出してみることをおすすめします。
入試までの残り期間の使い方
今日(2026年10月25日)から学力検査の3月3日(水)まで、約129日、週にして約18週間です。私立の入試も、公立より早い時期に行われる学校が多く、志望校の絞り込みや説明会への参加は、年内にある程度区切りをつけておくのが安心です。
お金の面から見た、残り18週間の動き方
- 10月下旬〜11月:志望する私立高校の募集要項(または入試要項)を取り寄せ、学費の項目を同じ形に並べ直す。個別相談会や説明会の日程を確認する。2学期の定期テストを落とさない
- 12月:個別相談で、特待・優遇の対象になりそうかを確認する。公立の過去問を解き、5教科で何点を拾えるかを見る。冬休みの勉強計画を立てる
- 1月:私立の出願・受験日程と、入学手続きの期限を、公立の日程と並べて書き出す。支援制度の申請の流れを学校に確認する
- 2月:公立の願書準備(Web出願システム)。2月16日〜18日正午までの受付期間と、志願変更の期間を確認する
私立の入試対策と公立の学力検査の勉強は、重なる部分が多くあります。ただし、私立には独自の出題形式の学校もあるので、志望校の過去問がある場合は、早めに一度解いて、公立との違いを確かめておくと安心です。
学力検査まで約18週間という日程は、動き出す時期が1か月遅れるだけで、使える時間が2割以上減る計算です。学費の確認と、得点を上げる勉強を、同時に進める必要があります。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、静岡県の入試(内申点・学調・学力検査)への対応が大きく違います。先に資料をそろえて、同じ項目で見比べてから話を聞くのが、失敗しない近道です。
資料が届いたら確認したいこと
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)と、入試までの総額
- 私立高校の入試と、静岡県の公立高校の学力検査の、両方に対応した指導の経験があるか
- 入試までの期間が短いときに、苦手教科や内申点に関わる教科だけを選んで指導してもらえるか
- 講師が合わなかったとき、無料で交代できるか
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まとめ:私立の学費は「分けて、確かめて、並べる」
- 私立高校の費用は、授業料と、入学時の納付金・施設費・教材費などの授業料以外に分けて考え、2校以上を同じ項目で並べ直して比べる
- 県の「令和8年度版 私立学校への助成制度概要」では、授業料の支援額の上限が月額で示されている(概ねの世帯年収270万円未満で42,750円など)。令和9年度入学の扱いは、学校や県の最新の案内で確認する
- 奨学給付金や家計急変の支援など、授業料以外を支える制度もある。対象かどうかは、学校の事務に具体的に聞く
- 特待・併願優遇の条件は、学校ごとに別の制度。対象のコース、判定の資料、免除の範囲、期間と更新、単願か併願かを、募集要項で確かめる
- 公立の令和9年度一般選抜は、学力検査3月3日(水)・4日(木)、合格者発表3月12日(金)正午以降。私立の入学手続きの期限と並べて、辞退時の費用の扱いも確認する
- 特待を目標にしすぎず、第一志望の学力検査に向けた勉強を軸にする
次にやることは3つです。志望する私立高校の募集要項を取り寄せて、学費の項目を並べ直すこと、個別相談会の日程を調べて成績を持っていくこと、家庭で「学費として無理なく出せる範囲」を話し合っておくことです。お金の不安は、数字と条件を確かめるだけで、かなり小さくなります。残りの期間を、安心して勉強に向けられるよう、早めに整理してください。







