「今日は、行けそうにない」。朝の玄関でそう言われた日が、先月から数えて何回あったか。数えるのをやめてしまった、というご家庭もあるかもしれません。
※受験対策の進め方に迷っている方は、静岡県対応の家庭教師の料金・口コミを無料で比べられる「家庭教師比較くらべーる」(資料請求は無料)もあわせてご覧ください。
中3の秋になると、「このまま欠席が増えたら、高校には行けないのでは」という不安が、保護者の中でも本人の中でも大きくなります。私自身、静岡県内で10年以上にわたり塾講師として中学生を指導してきましたが、学校を休みがちなお子さんの保護者から進路の相談を受けることは、決して珍しくありませんでした。
結論から言うと、不登校ぎみ・欠席が多いことだけで、高校進学の道が閉ざされるわけではありません。静岡県の公立高校入試には、欠席の状況を自分の言葉で説明できる「自己申告書」の仕組みがあり、全日制だけでなく、定時制や通信制という選択肢もあります。大切なのは、どの道があるのかを早めに知り、学校や相談先と連携しながら、お子さんの状態に合った順番で動くことです。
この記事では、令和9年度(2027年度)の静岡県公立高等学校入学者選抜実施要領で確認できた内容をもとに、制度の整理、進路の考え方、家庭での勉強の進め方を順に説明します。心の状態についての診断や治療の話ではなく、「進学の手続と勉強の段取り」に絞ってお伝えします。
まず知っておきたい:欠席が多い中3の進路は「複数」ある
不登校ぎみのお子さんの進路というと、「通えないから、どこにも行けない」と考えてしまいがちです。しかし実際には、選べる形がいくつもあります。大きく分けると、次の4つです。
- 全日制の公立高校(一般選抜):欠席が多くても、通常の一般選抜に志願できます。希望すれば自己申告書で欠席等の状況を説明できます
- 長期欠席生徒選抜:欠席が一定以上の生徒を対象にした特別選抜です。実施校は限られます
- 定時制・通信制の課程:登校の頻度や時間帯の負担を調整しやすい選択肢です
- 私立高校:学校ごとにコースや入試の方法が異なるので、個別に確認します
どれが「正解」ということはありません。大事なのは、入学後に無理なく通い続けられるかという視点です。入試に間に合わせることだけを目標にすると、入学後にまた通えなくなって苦しむことがあります。ここは焦らず、お子さんの今の状態を基準に考えてください。
静岡県の公立高校入試で、欠席はどう扱われる?
保護者が一番知りたいのは、「欠席が多いと不利になるのか」という点だと思います。ここは、公式の資料で確認できる範囲と、確認できない範囲を分けて整理します。
調査書は中学校長が作成する
静岡県の公立高校入試では、中学校長が「調査書」を作成し、高校に提出します。県の実施要領には、調査書の作成にあたって、校長を委員長とする調査書作成委員会を設け、記載内容の信頼性と客観性を高めることが定められています。
一方で、欠席日数が何日だと何点引かれる、といった具体的な点数化の方法は、私が確認した実施要領のこの部分には書かれていませんでした。「欠席が何日あると合否にこう響く」と断定できる材料は、少なくとも公開資料からは確認できません。気になる場合は、中学校の先生と志望校の説明会・個別相談で、具体的な扱いを確認してください。
欠席の状況を説明できる「自己申告書」
令和9年度の実施要領では、一般選抜に志願する人のうち、次の条件に当てはまる人が、希望すれば「自己申告書(様式第4号)」を提出できると定められています。
自己申告書を出せる人の条件(実施要領より)
- 欠席日数と、教育支援センター等への通所などで出席扱いになっている日数の合計が、第3学年でおおむね30日以上、または3年間でおおむね90日以上
- そのうえで、欠席等の状況について説明することを希望する志願者
自己申告書は、志願者本人が作成し、Web出願システムに登録するとされています。保護者が代筆するものではなく、お子さん自身の言葉で書くものです。何を書くか、どの程度まで書くかは、中学校の先生や、支援をしてくれている方と相談しながら整えていくと安心です。
なお、自己申告書は「提出できる」仕組みで、出すかどうかは本人の希望によります。また、書式の細かい項目や、選抜の中でどのように参照されるかは、実施要領のこの部分だけでは詳しくわかりません。気になる場合は、志望校に直接問い合わせてください。
出典:令和9年度静岡県公立高等学校入学者選抜実施要領(静岡県教育委員会)(2026年10月19日確認)
志願変更のときも使える
志願変更(1回に限り、2月24日(水)から25日(木)正午まで)で異なる高校に変更する場合にも、欠席等の状況について説明したい人は、自己申告書を提出できると書かれています。最初の出願のときに出さなかった場合でも、変更の時点で必要と感じたら、中学校と相談してください。
長期欠席生徒選抜:対象と実施校を正確に
静岡県には、特別選抜の1つとして「長期欠席生徒選抜」があります。令和9年度の実施要領で確認できた内容は、次のとおりです。
長期欠席生徒選抜の概要(令和9年度)
- 実施校・学科:県立伊豆総合高等学校土肥分校(普通)、県立天竜高等学校春野校舎(普通)。募集定員はどちらも「若干名」
- 志願資格:欠席日数と、教育支援センター等への通所で出席扱いになっている日数の合計が、第3学年でおおむね30日以上、または3年間でおおむね90日以上
- 志願できる数:1学校の1学科のみ。一般選抜との併願はできない
- 学区:県内全域
- 受付期間:2月16日(火)から2月18日(木)正午まで(一般選抜と同じ)
- 提出するもの:入学願書の項目、自己申告書、入学検定料2,200円。中学校長が副申書を作成して高校に提出する
- 選抜の方法:自己申告書、副申書、面接、学力検査の結果等を総合的に審査
- 学力検査・面接の日程:一般選抜と同じ日程で、学力検査は3月3日(水)・4日(木)の枠組み。合格者発表は3月12日(金)正午以降
ここで注意したいのは、「長期欠席生徒選抜は、一般選抜と併願できない」ことです。長期欠席生徒選抜に志願するなら、その1校1学科に絞ることになります。実施校は2校で、募集は「若干名」と少ないので、通学のしやすさや校風を事前に確認したうえで、慎重に判断する必要があります。
また、学力検査は「一般選抜の規定に準ずる」とされているため、学力検査(5教科)の対策は必要です。「長期欠席生徒選抜だから、学力は問われない」ということではありません。面接は、自己申告書と副申書の内容に関連して、学習への適性や学びに向かう力、活動状況などを口頭で聞かれる形です。
毎年度の制度は変わる可能性があります。今後、実施校や条件が更新された場合は、県教育委員会の発表を優先してください。
定時制・通信制という選択肢
全日制に毎日通うことが負担になりそうなお子さんにとって、定時制や通信制は現実的な選択肢になります。実施要領で確認できた、日程面のポイントを整理します。
定時制・通信制の日程(令和9年度の実施要領より)
- 単位制による通信制の課程:願書受付は令和9年3月17日(水)から3月26日(金)。ただし、県立静岡中央高等学校長が定めた日時とされています
- 単位制による定時制の課程の秋季選抜(県立三島長陵高等学校、県立静岡中央高等学校、県立ふじのくに国際高等学校、県立浜松大平台高等学校):受付期間は令和9年8月3日(火)から8月4日(水)正午まで。基礎力検査及び自由表現等は8月17日(火)、合格者発表は8月24日(火)正午以降
- 定時制の一般(春季)選抜:単位制の4校では春季選抜も実施されます。内容は実施要領の「単位制による定時制の課程」の項で確認できます
通信制や定時制は、「全日制に行けなかったから、仕方なく選ぶ道」ではありません。自分のペースで学べること、少人数であること、登校の頻度を調整できることなどから、積極的に選ぶご家庭もあります。ただし、学校ごとに通学の仕組み、卒業までの年数、サポートの内容は異なります。説明会や見学で、実際の雰囲気を確かめることをおすすめします。
通信制の私立高校(サポート校を含む)も多くあり、入学の時期や出願方法は学校ごとにまちまちです。ここは、各校の公式サイトの募集要項で確認してください。
今の時期にやることを順番にそろえる
入試まで時間がないと感じるかもしれません。けれど、いきなり勉強を詰め込む必要はありません。次の順番で整えていくと、無理が少なく進められます。
1. 学校と「窓口」をつくる
担任の先生だけに頼らず、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、進路指導の先生など、連絡を取れる人を複数持っておくと安心です。保護者がひとりで抱え込まないことが、実は一番大切です。調査書の記載の見通しや、自己申告書・副申書の進め方も、学校と話さないと見えてきません。
2. 教育支援センターなど、校外の居場所を確認する
実施要領では、「教育支援センター等への通所等により出席扱いとなっている日数」が欠席日数と合算されて、自己申告書や長期欠席生徒選抜の条件を判断する数字になっています。校外の居場所への通所が、学校の出席扱いになるかどうかは、中学校と通所先の関係で変わります。通所を検討している場合は、事前に中学校に確認してください。
3. 志望の方向を「複数案」で持つ
全日制の公立、長期欠席生徒選抜、定時制、通信制、私立。どれか1つに決め打ちせず、第1案・第2案・第3案と並べておくと、お子さんの調子が揺れたときも慌てずに済みます。出願の受付は2月16日(火)から18日(木)正午まで、志願変更は2月24日(水)・25日(木)正午までと決まっているので、そこから逆算して、冬休み前までに第1案を固めたいところです。
4. 勉強は「戻れるところ」からはじめる
欠席が続いていた期間の学習は、抜けている単元がバラバラにあるのが普通です。ここでいきなり中3の最新の単元や過去問に向かうと、「できない」という感覚だけが積み重なってしまいます。
勉強の再開チェックリスト
- 1日15〜20分から始めて、時間より「毎日触れる」ことを優先する
- 最初の教科は、本人が一番抵抗の少ない教科にする
- 英語は中1の単語・be動詞・一般動詞、数学は正負の数・文字式・方程式など、小さな単元から戻る
- 解けた問題に丸をつけて、「できたこと」を目で見える形にする
- 週に1回は、保護者と一緒に進み具合を見て、予定を軽く直す
「勉強しなさい」と言う回数を増やすより、「今日はどこまで触れた?」と聞いて、進んだ分を一緒に認めるほうが、続きやすいように感じます。
5. 学力検査の形に慣れる
学力検査は、国語・社会・数学・理科・英語の5教科(各50点満点)です。出題は基礎的・基本的なものを踏まえて、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度を広く問う形と、実施要領に書かれています。つまり、基礎の抜けを埋めることが、そのまま入試対策につながるということです。
過去問は、基礎が少し戻ってきてから使うと、「できない問題の山」に見えずに済みます。いつから何年分やるかは、別の記事でまとめています。
→ 静岡県公立高校入試の過去問はいつから・何年分?点数が伸びない子の使い方
塾・家庭教師・通信教育:欠席が多い子にはどれが合う?
学校に通えていない時期の勉強は、本人の気持ちの波に左右されやすいので、「どの学び方が合うか」は個人差が大きい部分です。3つを公平に並べます。
塾(集団授業)
- 周りと一緒に進むので、ペースが合えば刺激になる
- 通塾の時間帯や、人の多い教室に負担を感じるお子さんもいる
- 授業の進度が決まっているため、抜けている単元に戻りにくいことがある
通信教育
- 自分のペースで、時間を選んで進められる
- 費用を抑えやすい
- 質問できる環境がないと、つまずいたときに止まりやすい。続けられるかは本人の自主性に左右される
家庭教師
- 自宅で、1対1で、抜けている単元から戻れる
- 通塾の時間や人の多い場所への負担を避けやすい
- 講師との相性が大きく影響する。会社によって、料金、講師の層、オンライン対応、交代の仕組みが違う
学校に通いにくい時期のお子さんには、「人の多い場所に行かなくていい」「抜けた単元から戻れる」「1対1で質問しやすい」という点で、家庭教師が合うご家庭は少なくありません。ただし、お子さんによっては、知らない人が家に来ること自体が負担になる場合もあります。オンライン対応か、最初は保護者が同席できるか、講師が合わなかったときに交代できるかは、必ず確認したい点です。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、静岡県の入試への対応が大きく違います。まず料金や口コミ、対応の範囲を見比べて、お子さんの状態に合う会社を絞る材料をそろえると、判断がしやすくなります。静岡県に対応している家庭教師の料金を、無料で比べておくと、通塾の負担がないご家庭の選択肢が見えてきます。
- 学校や塾に通いにくく、自宅で勉強を進める方法を探している
- 欠席の間に抜けた単元が多く、中1・中2の内容から戻りたい
- オンラインや、最初は保護者が同席できる形など、お子さんの負担が少ない方法を知りたい
- 講師が合わなかったときの交代の仕組みを、先に確認しておきたい
家庭教師比較くらべーるなら、静岡県に対応している家庭教師会社の料金や口コミを見比べて、気になる会社の資料を無料でまとめて取り寄せられます。
家庭教師を検討するときに、何をどう比べればよいかは次の記事で詳しくまとめています。
→ 静岡で家庭教師を選ぶ方法|料金相場・塾との違い・失敗しない比べ方
保護者ができること・気をつけたいこと
お子さんが学校に行けない時期、保護者のほうも気持ちが揺れて当然です。そのうえで、進路の面で意識しておきたいことをまとめます。
家庭での関わりチェックリスト
- 「いつから行けるの」より、「今日はどんな感じ?」と聞いて、結論を急がせない
- 進路の情報は、お子さんの前で不安をあおる形ではなく、選べる道として並べて見せる
- 見学や説明会は、本人が「行ってもいい」と思えるタイミングで。無理なときは保護者だけで行って資料を持ち帰る
- 生活のリズム(起きる時間・食事・睡眠)を、できる範囲で保つ
- 気持ちや体調の面で心配が強いときは、学校のスクールカウンセラーや、医療機関・相談機関など専門家にも相談する
お子さんの心の状態の見立てや、医療の判断は、私の専門ではありません。進学の手続と勉強の段取りは本記事で整理できても、心身のことは専門家と一緒に考えていただくのが安心です。
避けたい動き
- 情報が足りないまま、出願の直前になって慌てて志望校を決める
- 「欠席が多いと絶対に落ちる」と決めつけて、可能性を狭めてしまう
- 反対に、「大丈夫だから何もしなくていい」と、学校との連絡を後回しにする
- 本人の意思を聞かずに、保護者が進路を決めてしまう
入試までのスケジュールを逆算する
令和9年度(2027年)の静岡県公立高校入試は、出願と検査の日程がすでに公表されています。今日(2026年10月19日)から数えると、出願受付開始の2月16日までは約4か月、学力検査の3月3日・4日までは約4か月半です。
主な日程(一般選抜・特別選抜は同じ日程)
- 願書受付:2月16日(火)から18日(木)正午まで
- 志願変更:2月24日(水)から25日(木)正午まで(1回に限り)
- 学力検査:3月3日(水)、面接等は3月4日(木)
- 追検査:3月9日(火)
- 合格者発表:3月12日(金)正午以降
- 再募集:願書受付3月16日(火)・17日(水)午後2時まで、面接等3月23日(火)、合格者発表3月25日(木)正午以降
「冬休み前に方向を決める」「冬休みに基礎を戻す」「1月から過去問に触れる」というように、大きく3段階に分けると、動きやすくなります。体調が不安定な時期があっても、1か月ごとに見直せる余裕を持たせておくと安心です。当日に体調を崩して受検できなかった場合の追検査(3月9日)もあります。受検できなかったときは、3月4日の午後3時までに手続が必要とされているので、あらかじめ頭に入れておいてください。
日程の最新情報は、県教育委員会の発表を優先してください。一覧は次の記事でも整理しています。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、静岡県の入試(内申点・学調・学力検査)への対応が大きく違います。先に資料をそろえて、同じ項目で見比べてから話を聞くのが、失敗しない近道です。
資料が届いたら確認したいこと
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)と、入試までの総額
- オンライン対応の有無と、最初は保護者が同席できるか
- 中1・中2の内容から学び直す進め方に対応しているか
- 講師が合わなかったとき、無料で交代できるか
家庭教師比較くらべーる(資料請求は無料)
まとめ:欠席が多くても、進学の道は複数ある
- 欠席が多いことだけで、高校進学の道が閉ざされるわけではない
- 令和9年度の静岡県公立高校入試では、欠席日数と教育支援センター等で出席扱いの日数の合計が、第3学年でおおむね30日以上、または3年間でおおむね90日以上の人が、希望すれば自己申告書(本人が作成)を提出できる
- 長期欠席生徒選抜の実施校は、伊豆総合高校土肥分校と天竜高校春野校舎の2校(普通科・若干名)。一般選抜との併願はできず、学力検査も行われる
- 定時制・通信制、私立高校も含め、第1案・第2案・第3案と複数の道を並べておく
- 勉強は、中1・中2の内容など「戻れるところ」から、1日15〜20分で再開する
- 調査書での欠席の具体的な扱いは、公開資料からは確認できないため、中学校と志望校に直接確認する
まず今週できることは、中学校の先生に「進路について、一度ゆっくり話したい」と伝えることです。そのうえで、お子さんの負担が少ない学び方を、1つずつ探していきましょう。
出願の受付は2月16日(火)から18日(木)正午まで、学力検査は3月3日(水)・4日(木)です。今日から数えると、準備できる期間は約4か月です。通塾が難しい時期でも、家庭で進められる学び方を比べておくと、冬休みの過ごし方が決めやすくなります。







